○口腔ケアと全身の健康
近年高齢化社会に突入した今、近親者或いは御自身の将来の為にも是非知っておいて頂きたい事がございます。
口腔内細菌と内科疾患との関連性、咀嚼(そしゃく:物をよくかみ砕き味わうこと)の機能と老化・、口腔環境が全身の健康と密接に関連していることが、近年明らかになってきました。
細菌の塊である歯垢は、ムシ歯や歯周病の直接的な危険因子であると同時に、全身疾患を引き起こす菌の温床としての役割を果たす可能性が高いのです。口の中は常に37℃前後に保たれ、唾液という水分があり、定期的に食物が通過するので、細菌が増えやすい環境になっています。そして、口の中の細菌が関与すると考えられる代表的な全身疾患としては、
・感染性心内膜炎、敗血症
・虚血性心疾患
・誤嚥性肺炎
などがあげられます。
介護高齢者は、健康な人にとっては病原体とはいえないような細菌によって、日和見感染症(ひよりみかんせんしょう:抵抗力が弱かったため、普通は病原性を示さない菌による感染症)、感染性心内膜炎や誤嚥性肺炎に陥ることがありますが、口腔ケアを行えばこれらの疾患を予防できることが分かってきました。
つまり口腔ケアは、単に歯や歯ぐきのためだけではなく、生活援助に加えて全身疾患の予防など、生命の維持・増進に直結したケアでもあるといえるのです。皆様も常日頃の はみがき習慣を身につけ健康で明るい生活を目指しましょう。