日本成人矯正学会は1993年に設立され、創立から四半世紀が経過しました。当時は矯正歯科は子供のものだと一般的に思われておりました。実際は、成人にも矯正歯科治療を必要とする患者が存在し、かつ治療が可能であること、本来は成人まで放置しないで適切な時期に受診した方が良いことなどについて啓発する必要がありました。この啓発活動として、市民公開講座、毎年6月の矯正歯科月間などを通して継続されています。
6月23日に行われたお二人の先生の市民公開講座を一部抜粋してご紹介させて頂きたいと思います。
「こどもの矯正」
第26回日本成人矯正歯科学会大会長 石野 善男先生
平成元年からスタートした「8020運動」は、80歳で20本以上の歯を保つことですが、8020達成者のお口を拝見すると、歯並びと噛み合わせには大きな問題がないことがわかりました。しかしながら、この歯並びと噛み合わせがこのように整うには条件があります。また、不正咬合(歯並びや噛み合わせが悪いこと)のほとんどは、子供の頃に「種」があることが多いのです。子供のうちから備えて、将来、介護、寝たきりにならずに、楽しく活動的な人生を送りたいものです。
「おとなの矯正」
日本成人矯正学会歯科 理事長 小谷田 仁先生
一般的矯正歯科治療の目的は叢生、出っ歯や受け口を治すことによって、咬合の審美性と機能性(咀嚼・発音)を改善することにあります。そして、大人の矯正(成人矯正)の目的は、加齢現象と疾病および咬合機能不全によって崩壊していく咬合に対して、回復的な成人矯正治療をほかの学際領域と連携して行うことにより、不正咬合を改善し、形態と機能の安定性を維持することにあります。ところで米国は世界に先駆けて矯正歯科が普及した国です。健康で美しい歯を持つ「デンタルIQ」の高い人は、すなわち社会的ステータスが高い人だとみなされる傾向があります。きちんとした身なりをするのと同様、歯並びは就職や昇進にも影響を及ぼしかねない、重要な印象を周りに与えるとされますが、なぜでしょうか?
米国の文化は笑みからコミュニケーションが始まります。他人種、多言語のこの国では笑みは相手に、私は危険な人物ではありませんと安心感を与えるのです。
6/23・24は、この学会参加もあり休診とさせて頂きました。これからも当院では、学会や講習会などに参加し、患者様により良い治療を受けて頂けるよう努めてまいります。