10月9日（木）に有楽町朝日ホールにてMFT学会が開催されました。
MFT（口腔筋機能療法：Myofunctional Therapy）とは？
歯並びや咬み合わせの形成には、遺伝だけでなく幼少期の生活習慣や癖なども大きな影響を及ぼしています。
舌突出癖や指しゃぶりが開咬や上顎前突を招くほか、アレルギー性鼻炎などによる口呼吸の習慣が、お口周りの筋肉の弛緩につながることもあります。
口腔筋機能療法（MFT）は、こうした後天的な筋肉の不調和を舌や口唇、頬などの口腔顔面筋のトレーニングを通して整えていく療法です。咀嚼時、嚥下時、発音時、安静時の舌や唇の位置の改善、および呼吸をはじめとした口腔機能の改善効果が期待できます。
当院でもMFTを積極的に取り入れ、矯正治療開始時にMFTを開始し矯正治療終了時には歯並びに悪影響のある悪習癖（舌突出癖、指しゃぶり、爪かみ、口唇癖など）や習慣（頬杖、片側噛み、うつ伏せ寝など）、鼻疾患などが改善するようご指導しております。
これらの要因は、歯並びに悪影響を与えるだけでなく、矯正治療期間が延びたり、矯正治療終了後の後戻りの原因にもなります。
＊子供の身体は成長段階にあるため、柔軟で比較的小さな負荷でも歯並びや咬み合わせに悪影響を与えてしまいます。こうした悪影響を招く原因として、以下のものが挙げられます。
＜指しゃぶり＞
指しゃぶりは、指で上下の咬み合わせを悪くする状態になるほか、上の前歯を裏から押し続けることになるため、開咬や上顎前突を引き起こしやすくなります。
指しゃぶり
指しゃぶりによる開咬
＜舌癖：舌突出癖＞
常に舌で前歯を押し出したり、食べ物を飲み込むときに舌を出したりする癖を舌癖と言います。
舌癖は前歯の歯並びに悪影響を及ぼします。
舌突出癖による前歯部開咬
＜歯ぎしり・食いしばり＞
歯ぎしりや食いしばりが習慣化すると、歯や顎に過度な負担がかかり、歯並びの乱れや顎関節症を引き起こすことがあります。
＜片側噛み＞
食べ物を噛む歯が片方に偏っていると、顔の歪みや変形を引き起こすことがあります。
＜咬爪癖・口唇癖＞
爪や唇を咬む癖は、歯や歯ぐきに大きな負担になります。不自然な顎の動きが習慣化して、顎関節に悪影響を及ぼします。
＜頬杖＞
頬杖は、人間の身体の中でももっとも重い頭部を顎で支える行為。重みが一点に集中することで、顎が変形してしまうことがあります。
＜うつ伏せ寝など＞
うつ伏せや横向きの状態で寝ていると、顎の骨に負担がかかります。長時間の睡眠となるとその影響は少なくありません。
＜丸呑み・早食い＞
よく噛むことは、顎の正常な発達に大きな役割を果たします。
しかし、やわらかい食品が多くなったことでよく噛む習慣は薄れつつあります。顎の成長のためにもよく噛むことが重要です。
＜舌小帯・舌の姿勢位＞
舌小帯の付着部位、長さ、形状などにより低位舌になり歯並びに悪影響を及ぼします。
舌小帯短縮症 
低位舌
＜鼻閉・口呼吸＞
慢性的な鼻炎などで鼻がつまり口呼吸が習慣化すると、常に口が開いた状態になり、顔面の筋肉や骨格、咬み合わせに悪影響を及ぼします。
必要に応じて鼻腔通気度検査機で鼻閉の状態を確認します。鼻閉が認められた場合は耳鼻咽喉科の受診をお願いしています。
<鼻疾患：アレルギー性鼻炎など＞
慢性的な鼻炎などで鼻がつまり口呼吸が習慣化すると、常に口が開いた状態になり、顔面の筋肉や骨格、咬み合わせに悪影響を及ぼします。
必要に応じて鼻腔通気度検査機で鼻閉の状態を確認します。必要に応じて耳鼻咽喉科、アレルギー科の受診をお願いしています。
＜扁桃腺肥大アデノイド肥大＞
鼻呼吸が難しく、口呼吸になり低位舌、舌小帯の短縮、嚥下機能異常が起こり歯並びに悪影響を及ぼします。
＜身体の姿勢＞
ストレートネックや頭部前傾斜姿勢「Head Forward Position (HFP) 」は頭部周囲の筋群に過剰な負担がかかり、首や肩の痛みだけでなく、呼吸機能や嚥下（飲み込み）機能にも影響を与えます。そしてその中で重要な役割を果たしているのが舌骨上下筋群*です。
首が前に突き出ることで下顎が後退し、舌骨の位置が相対的に後方に引っ張られます。子供によって長時間のTV ゲームなどを使用するとやはり頭が前に傾き、筋肉が緊張すると「首こり」となり、痛みや重だるさ、動かしにくさなどの症状を引き起こすことがあります。
＊舌骨上下筋群とは？
【舌骨上筋群】
【舌骨下筋群】
＜口唇力＞
口唇の力が弱いと口唇を閉鎖する力が弱く口唇が開いた状態になり、前歯部を表側からサポートする力が弱くなり前歯部が前突しやすくなります。
