顎関節症って…?

顎関節症とは、顎(あご)の関節とその顎の関連する筋肉=咀嚼筋(そしゃくきん)の病気です。顎の関節と咀嚼筋の問題が混在しているため、混乱されることも多くなっております。咬み合わせが直接の原因ではありませんが、関節の位置などが咬み合わせによって変化するため、診断、治療には、咬み合わせがよくわかっている必要があります。

口を開けた際に、顎の関節や頬、こめかみの筋肉が痛むほか、「カクン」と音がしたり、口が大きく開かなかったりします。首、肩の凝りや頭痛、耳が詰まった感じ、目の疲れなどを伴う人もいます。人差し指と中指、薬指の3本を縦にして口に入れるのが痛くて難しい場合(開口障害)は、顎関節症が疑われます。

顎関節症は、歯ぎしりをしたり、硬い食べ物を強く噛んだりして、顎を動かす筋肉が疲れて筋肉痛を起こすことで発症すると考えられています。

歯ぎしりなど顎に強い力が加わること自体が発症の要因となる事もあります。顎は、下顎の骨の突き出た部分「下顎頭」が頭骨のくぼみに収まっています。骨と骨の間には、クッションの役割をする「関節円板」というコラーゲン繊維があり、強く噛んだり、口を大きく開けたりすると、前にずれてしまうことがあります。この状態で下顎頭から力が加わると炎症を起こして痛みが生じます。

通常、口を開ければ、下顎頭がくぼみから抜けて前方に移動します。関節円板がずれたままだと、下顎頭が関節円板にひかかり、抜ける際に「カクン」と音が鳴ります。

筋肉の痛みをとるには、顎関節部分を蒸しタオルなどで温め、開閉運動を行なう方法があります。歯ぎしりを防ぐ歯科用マウスピースを就寝時につけることも有効です。顎関節症の患者様の多くは、食事や会話以外のときも上下の歯を無意識に噛み合わせて、顎に負担をかけています。普段から「上下の歯は離す」ことを意識して下さい。仕事や受験、人間関係、長時間のパソコン作業などストレスや緊張が続くと、夜間に歯ぎしりをすることなどの原因になります。日頃から、なるべくリラックスし、ストレスを減らすように心がけましょう。

 

顎関節症は、う蝕、歯周病に並ぶ第三の歯科疾患ともいわれ、学校歯科検診にも取り入れられています。また、顎が痛ければ歯科医院に行くということも広く一般に知られるようになりました。

顎関節症患者は顎顔面領域に痛みや違和感を訴えることが多いが、そうした症状は他の疾患でも起こり得ます。顎関節症と類似の症状を呈する疾患には、う蝕や歯周病をはじめ、顎関節や咀嚼筋に関連した各種疾患、また頭痛や神経痛などの口腔顔面痛、精神疾患や心身症などがあります。

1)顎関節症の概念(日本顎関節学会)

顎関節症は、顎関節や咀嚼筋の疼痛、関節(雑)音、開口障害ないし顎運動異常を主要症候とする傷害の包括的診断名である。その病態は咀嚼筋痛障害、顎関節痛障害、顎関節円板障害および変形性顎関節症である。

 

顎関節の構造

*関節円板・・・顎関節の骨と骨の間にあるクッションの役割をしている組織です。

*下顎頭 (関節突起)・・・下顎の骨の突き出た部分

 

2)顎関節症の病因(日本顎関節学会)

 顎関節症の発症メカニズムは不明なことが多い。日常生活を含めた環境因子・行動因子・宿主因子・時間的因子などの多因子が積み重なり、個体の耐性を超えた場合に発症するとされています。日常生活を含む環境因子として、緊張する仕事、多忙な生活、対人関係の緊張などがあります。行動因子として、硬固物の咀嚼、長時間の咀嚼、楽器演奏、長時間のパソコン業務、単純作業、重量物運搬、編み物、絵画、料理、ある種のスポーツなどがあり、習癖として、覚醒時ブラキシズム、日中の姿勢、睡眠時の姿勢、睡眠時ブラキシズムなどが挙げられます。宿主因子には、咬合、関節形態、咀嚼筋構成組織、疼痛閾値、疼痛経験、パーソナリティ、睡眠障害など、時間因子としては、悪化・持続因子への暴露時間が関与しています。

 

3)顎関節症の罹患状態

 平成28年の厚生労働省歯科疾患実態調査によれば、「口を大きく開け閉めしたとき、顎の音がありますか」に「はい」と回答した対象者は、550/3,655で、約15.0%でした。

疫学調査の結果から、顎に何らかの症状を持つ人は全人口の7~8割に上るとされていて、このうち病院で治療を受けている人は7~8%です。実際には、顎関節の症状を抱えている人に男女差歯はありませんが、患者さんは女性が多く、男性の2~4倍で、それも若い女性と中年の女性に多いのが特徴です。病院を受診する動機は、顎関節の痛みを主訴とする人が圧倒的で、関節周辺や頬、こめかみが痛む場合もあります。女性の患者さんが多い理由として、女性は顎の筋力が弱いとか筋肉の血液循環が悪いといったことも考えられますが、女性の方が痛みを感じやすいが、痛みが強くても耐えられるため自然には回復不可能な状態になってしまい病院を受診せざるを得ない状態になってしまうのではないかということが考えられます。

4)顎関節症の症例分類(日本顎関節症学会)

 

 咀嚼筋障害(Ⅰ型)

顎関節痛障害(Ⅱ型)

 顎関節円板障害(Ⅲ型)

a:復位性

b:非復位性

変形性顎関節症(Ⅳ型)

 

 

 

 

5)顎関節症の主要な症状

 

①     顎関節痛・咀嚼筋痛:顎が痛む。顎関節痛が起こる主な病態は、顎関節周囲の軟組織の慢性外傷性病変です。滑膜炎、関節包あるいは円板後部結合組織における細菌感染のない炎症    です。下顎頭と接するこれらの組織に炎症が生じると、神経が過敏になり、顎運動時に下顎頭の動きにより刺激されて痛みを生じます。

筋痛は様々な病態によって生じます。最も一般的な病態は、筋・筋膜疼痛で、頭頚部および口腔顔面領域の持続性疼痛の最も一般的な原因でもあります。筋・筋膜疼痛の特徴は局所的な鈍い、疼くような痛みとトリガーポイントの存在で、筋肉を機能させると痛みが増します。活動的な状態のトリガーポイントを圧迫すると、ジャンピングサインと呼ばれる逃避反応が生ずるほどの鋭い痛みを局所に生ずるとともに離れた部位に関連痛を生じます。

②     開口障害:口が開かない。通常、病気がなければ自分の指、人差し指から薬指までの3本を縦にして口に入ります。その時の開口量は約40mmです。最大開口量が40mm以下の場合にはに顎関節、咀嚼筋に何らかの異常があると考えるべきです。開口障害の原因には、①筋性 ②関節円板性 ③関節痛性 ④癒着がありますが、突然開かなくなったときには関節円板の転位によるものです。また、知らないうちに徐々に開かなくなっているのは筋性です。

③     顎関節雑音:顎を動かすと音がする。咀嚼や開口時にカックンとかガリガリといった関節音が生ずることがあります。最も多い関節音は関節円板性開口障害に先行する復位を伴う関節円板転位によるものです。前方に転位した関節円板が開閉口に伴って下顎頭が前後に動く際に下顎頭上に戻ったり、再度転位する時にカックンといった単発音が生じます。

 

顎関節症の代表的な症状は上記の3つです。

その為、硬い物が噛めない。

大きな食べ物が食べにくい。その他、肩こり、頭痛、手のしびれ、めまい、耳鳴りなども現れることがあります。

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