顎関節症の一つの原因は咬合干渉です。
その為に顎運動を調べる必要があります。
顎運動の記録は前方移動した時の顆路角と前歯のIncisal Guidance の割合が記録できます。
側方運動では犬歯誘導の記録が出来ます。
上顎前歯舌側の誘導路角 S (F1-F2)は 57.2度であった.
更に舌側面機能的最深点F3を含む2つの平面,すなわち平坦な傾斜S1(F1-F3)部分と急な傾斜S2(F3-F2)部分とに分けて計測した結果,それぞれ54.5度と59.5度であった.
この測定は、APOというAxis-Or plane(AOP)を基準として解剖学的フェイスボウ(SAM, Prazisionstechnik, Munichen, Germany)を用いてSAM 2咬合器(SAM, Prazisionstechnik, Munichen,Germany)に付着する。
下顎模型の付着にはチンポイント法による咬合採得記録を用いて行う。
日常臨床では、全ての症例において顎運動を記録していない場合は、Frankfort 平面とAxOr平面は平均6.0°の角度を持つことが知られているので、これを利用して平均的なAxOr平面を求めることもできる。
尚、F1, F2については以下の図をご参照下さい。
あくまでも平均値であり、年齢、それから骨格性パターンを考慮しなければなりません。
当然、Class IIの誘導角度はClass I to Class IIIに比べたら、Ⅱ級の方が急傾斜になります。
前方誘導路と後方誘導路(顆路角)の関係を以下の図に示しました。
臨床上では上顎前歯の前方誘導路は,矢状顆路傾斜角(SCI)より約7度急であった。
7°前後(3~4°)なら前歯誘導は比較安全な角度と私たちは考えています。
前歯の誘導が得られたら今度は側方運動考えなければなりません。
臼歯部への誘導を考えて干渉にならないように工夫しなければなりません。
その為に誘導角度が減ります。
その咬合様式をsequential guidance with canine dominance とSlavicek 先生が命名しました。
勿論、あくまでも臨床上での考え方ですので、顎関節内に問題があればAxiograph 、CT 画像を撮り、関節円板の状態を確認するためには超音波検査MRI(temporomandibular disorder (TMD) using high-resolution ultrasonography)を行う必要があります。
しかし、院内では難しいため、大学病院にご紹介することになります。