第84回日本矯正歯科学会学術大会 PART2

前回とは別の話題として海外からの特別講演も含め、国内外の歯の移植や骨移植について多くの症例を拝見する事ができました。

歯の移植は、先天性欠損や外傷、埋伏歯などに対する有効な治療法であり、欠損部の機能回復とともに歯槽骨の保存・再生を可能にします。創傷治癒のメカニズムや3Dプリンティングなどの技術革新により、適応範囲が拡大され、長期安定性が報告されています。

歯の移植は、特に成長期の患者にとっては、歯の先天的欠如、上顎切歯の外傷(打撲による脱臼など)及び埋伏歯の治療に有効な手段です。

移植した歯は、欠如歯を長期間にわたって補うにとどまらず、歯槽骨の保存や再生も可能になります。

根未完成の小臼歯は極めて高い治癒能力を有するため、移植に最も多く用いられますが、根未完成の第三大臼歯(親知らず)や埋伏歯の移植も成功の可能性が高いそうです。

若年患者における重度の外傷を受けた上顎中切歯の置換を目的とした未成熟小臼歯の自家移植は、ドナー歯が根尖(歯根)成熟の特定の段階にある場合に最も成功率が高いです。

予後は移植時の小臼歯の歯根の発育段階に大きく左右されます

 

<推奨される根尖成熟段階>

自家移植に理想的なドナー小臼歯は、歯根が半分(1/2)から4分の3(3/4)形成されており、根尖が大きく開いている(根尖孔が1mm以上あるとされることもある)状態です。

この段階では、移植後も歯髄の再血行が促進され、歯根が継続的に発育する可能性が高くなります。

初期の段階(歯根形成が半分未満)では移植の安定性が予測しにくい場合があり、根尖閉鎖後または完全に発育した後の移植は、歯髄治癒の遅延と歯根吸収のリスク増加により成功率が低下します。

*歯根発育分類

歯根発育は一般的に7段階に分けられ、第4段階と第5段階(Morrees分類)は、歯根が1/2~3/4形成され、根尖が開いている段階です。

これらの最適な段階にある歯は、歯根吸収がなく、歯周治癒率が最も高く(90%以上)、歯髄の血行再建もほぼ100%に達します。

これらの歯は、移植時に正常な歯根成長を継続し、最終的な歯根長に達し、機能的に健康な歯根膜を形成します。

*臨床的意義と経過観察

適切な発育段階にある未成熟歯を用いた若年患者における自家移植は、インプラントよりも顎の成長に適応する長期的な自然な歯の代替となり、審美性と骨温存に大きなメリットをもたらします。

術後の活力検査とX線撮影によるモニタリングは、歯根発育の継続を確認し、強直や歯根吸収などの合併症を除外するために不可欠です。

 

<歯科の骨移植とは>

歯科の骨移植とは、インプラント治療を安全に行うために、顎の骨の量が不足している場合に、他の部位から採取した骨や人工骨などを移植して骨の厚みや高さを補う手術です。これは、歯周病や長期間の歯の喪失によって骨が痩せてしまった場合に必要となり、インプラント体をしっかりと固定できる土台を作ることを目的としています。

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