第44回日本臨床歯科医会大会に参加しました!
今年は2月22日・23日に千葉大会が開催されました。大会のテーマは「成長期の不正咬合を考える」です。
招待講演として海外の矯正医の先生方の講演を拝聴することができました。
韓国の矯正医である Dr.Jae-Man Hyun の講演では、上顎前突(出っ歯)、下顎前突(受け口)の患者様の profile を外科矯正により改善した症例を発表されました。
*外科矯正は、主に顎変形症など顎自体に問題がある症例に適応され、外科手術と矯正治療を併用する治療方法です。*
顎変形症は上顎と下顎の骨の形、大きさの異常、位置のバランスが崩れることが原因で起こります。
顎自体が抱える問題による不正咬合は矯正のみで改善することは難しいです。
このような症例の多くは、骨格的な改善が必要になるため、外科手術と歯列矯正を併用した治療を行うことになります。
当院ではなるべく外科矯正手術を避けたい患者様に対して、矯正用インプラント(TADs anchor screw) を使用し矯正治療のみで改善する治療を行っております。
また、成長期に矯正治療を開始することにより、顎の成長や位置づけに悪影響を及ぼす因子をできるだけ排除し、予防することもできます。
また、積極的に成長発育の管理を行い(抑制や促進)、不正咬合を治すことができます。
不正咬合の原因には機能的なものが先で硬組織、骨格的なものが結果としてついてくるという考えもあります。
これは Moss のファンクショナル・マトリックス(機能母体説)と言い、骨格は機能によって形成されるという考えです。
何よりも機能を優先する。まず最初に機能があり、筋肉の動きのために骨格が決まるという説です。
不正咬合の原因としては、遺伝的原因
環境的原因(先天的、後天的)
骨格や歯並びに影響を与えるもの(口腔内の機能)としては
嚥下機能の異常
鼻咽頭疾患(口呼吸、アレルギー、アデノイド肥大、扁桃腺肥大)
小帯の異常(舌小帯付着異常、上唇小帯付着異常)
口腔習癖(指しゃぶり、咬爪癖、吸唇癖、咬舌癖、舌突出癖、舌低位など)
習慣性姿勢位(頬杖、うつぶせ寝、同じ片側でばかりカバンをかけるなど)
顎関節の異常
私たちは、口腔機能訓練法:MFT ( Oral Myofunctional Therapy ) といって、口腔周囲の筋肉の機能を改善する訓練を行っています。
これによって、舌癖、口唇癖、咀嚼・嚥下機能の正常化、舌と口唇の安静位を得ることにより歯列に対して異常な外力をなくし安定させることができます。
綺麗になった歯並びの安定性にも関係があります。
矯正治療において口腔周囲の機能を正常にすることは重要であり、治療をスムーズに進め、保定期間中も安定した歯並びを維持することができます。
今回の学会でも MFT についてのプログラムが多くあり講演を聞くことができました。
ポスター展示では、上顎犬歯が埋伏し前歯の歯根を吸収していた患者様を、矯正治療により上顎犬歯を正しい位置に牽引し萌出させた症例がありました。
当院でもこのような患者様がいらっしゃいましたが、矯正治療により正しい位置に並べました。
また、日本臨床矯正歯科医会大会で開催されるブレーススマイルコンテストでは、全国から選ばれた素敵な笑顔の持ち主の方が受賞され、その表彰式も会場で行っていました。コンテストに参加されたい方はお気軽に受付にお申し出くださいね。